昇苑くみひもは「宇治十帖」に特化する源氏物語セミナーシリーズ(全3回)の第2回目を5月25日(土)に、昇苑くみひも宇治本店の離れで経営するカフェ「抹茶ロースタリー」で開きます。
画像は「源氏絵鑑帖」(左:巻47総角、右:巻51浮舟)共に宇治市源氏物語ミュージアム提供
第1回目(4月20日開催済み)では、平安時代の宇治の立地、当時の宇治川の様子、物語の舞台となった主人公らの別荘(現在の平等院、宇治上神社・宇治神社)を解説しました。
今回は「恋のトライアングル」と題し、光源氏の子孫の二人の貴公子と三人の姫君が織りなす二種類の「三角関係」を取り上げます。光源氏を明石に追いやった政敵側に担がれた八宮、明石中宮が生んだ皇子匂宮、源氏の息子として育つが不義の子の薫、八宮の娘である大君・中君・浮舟が主人公です。宇治の自然や風土を背景に、どのような複雑な人間模様が描かれているかを明らかにすることを通して「源氏物語」のもつ人間探求の深さ、自然描写と心理描写のすばらしさを浮き彫りにします。また、その物語の中で、現在の宇治の地にある宇治川や橘島・塔の島、その東にある宇治上神社・宇治神社・三室戸寺、西にある平等院などが、どのように「宇治十帖物語」の恋の展開の中に生かされているかにも触れていきます。
6月15日開催予定第3回目では、恋の板挟みに悩んで宇治川に入水した浮舟のその後の生き様を追っていきます。平安時代の文学作品としてはユニークな視点で描かれた女性像を通して解読します。また、この完結編の総括として紫式部が宇治の地を選び宇治十帖を書いた理由の核心にせまります。
講師は、60年近く「源氏物語」の教鞭をとってきた世羅 博昭氏(せら・ひろあき、鳴門教育大学・四国大学名誉教授、教育学博士)。日本国内の高校、大学、海外での源氏物語講義の実績も厚く、直近では2020年から現在まで「宇治十帖セミナー」を毎月オンラインで米国在住者対象に行っています。現在、『大河ドラマ・光る君へ』をきっかけに宇治に熱い視線が注がれており、本セミナーは「宇治十帖」を読み解くためにカスタムメイドした内容で、「源氏物語」の古典教育で定評のある同氏の特別講演です。
全ての回で、世羅氏作成の詳細資料(10~20頁)を配布し、原文の一部も読み解きながら物語を鑑賞していきます。第2回目以降からの参加者でも、ご希望があれば、前回の資料とビデオ録画のリンクも提供します。本セミナーは、ロサンゼルス・カルチュラル・ニュース Cultural Newsと共催で、各セミナーは米国ロサンゼルスでリアルタイム配信します。また各セミナーでロースト抹茶ドリンクと創作スィーツも提供します。
「源氏物語・宇治十帖の世界」セミナー概要
第2回5月25日(土):13:30~15:30 「恋のトライアングル」
•「宇治十帖」に見られる様々な「恋のトライアングル」(三角関係)
•今も昔も変わらぬ愛の喜びと苦しみについて考える。
第3回6月15日(土);13:30~15:30 「新しい生き方を求めて」
•宇治川に入水未遂した浮舟の波乱に富んだ生き方を追う。
•紫式部が宇治の地を選んだ核心にせまる。
開催済:第1回4月20日(土)13:30~15:30
•「源氏物語」と「宇治十帖」の概略の紹介
•「宇治十帖」は、なぜ舞台を《宇治》にしたのかを探る
【世羅 博昭氏について】
1940年10月、広島県生まれ。国立鳴門教育大学・四国大学名誉教授。博士(教育学)。源氏物語の普及をライフワークに高校、大学で教鞭をとる。海外ではニュージーランド・オークランドで「源氏物語を読む会」の講師を務める。米国ロサンゼルスでは、国際交流基金ロサンゼルス日本文化センター、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校日本語コース、カリフォルニア大学サンタバーバラ校大学院で講演を行う。2020年7月から現在まで通算44回、オンライン・ズームでロサンゼルス・カルチュラル・ニュース主催の「源氏物語─宇治十帖物語を中心に─』の講師を務めている。高校生に古典を教えた実践研究をまとめた『「源氏物語」学習指導の探究』( 渓水社・1989年刊) は全国大学国語教育学会賞を受賞。この著書は宇治「源氏物語ミュージアム」図書室に収蔵されている。近著『高等学校における古典教育の創造的展開─ 単元の教材編成と指導法の開拓─ 』(溪水社・2023年刊、上下2巻・872頁)は日本初の高等学校における古典教育実践研究の大著。
共催: 昇苑くみひも・抹茶ロースタリー/ロサンゼルス・カルチュラル・ニュース
場所: 抹茶ロースタリー@中宇治 (宇治市宇治妙楽146番地)
参加者:先着20名様まで(2回、3回とも単独参加)
参加費:1回3,300円(税込、講義・資料代とロースト抹茶ドリンク/スィーツ)
お問合せ・申込:抹茶ロースタリー 0774- 34-1125、https://matcharoastery.com/products/list?category_id=30
【ロサンゼルス・カルチュラル・ニュース Cultural Newsについて】
広島県呉市出身の東繁春(ひがし・しげはる)氏によって1998年7月にロサンゼルスで創刊された月刊タブロイドの英字新聞。ロサンゼルスで体験できる日本文化イベントを英文で紹介している。購読者は、日系アメリカ人、一般アメリカ人、在米日本人と層が厚い。2020年のコロナ禍をきっかけに、月刊タブロイド紙からPDF版週刊ニュースレターに変換している。同時にウエッブサイト https://www.culturalnews.comとメール・マガジンで情報発信を行っている。
【昇苑くみひもについて】
地元・宇治で創業75年。糸の染色から紐の組み上げ、最終製品への加工まで一貫生産出来る体制を構築している。和装品に加えてジュエリー、アパレル、インテリアや建築、キャラクターやイベント用商品を提供、欧米のアクセサリーメーカーへの供給など海外進出を手掛ける。2023年、宇治本店の離れを改装しカフェ「抹茶ロースタリー」を開店した。会社情報:https://showen.co.jp、ECサイト:https://shop.showen.co.jp
【抹茶ロースタリーについて】
抹茶原料の碾茶を焙煎し石臼引きした「ロースト抹茶」のドリンクとスィーツの専門カフェ。2階建の「本館」と昇苑くみひもの坪庭に面した「離れ」(全52席)があり、句会、講習会など少人数の会合にスペースを提供している。事業情報・ECサイト:https://matcharoastery.com